管理人です。
先週の日曜、高杉吏麒騎手が5週間ぶりに出馬表へ戻ってきました。中京6Rでミッキースターダムに騎乗し、8番人気ながら逃げて4着。よかった、と書いた矢先のことです。
8月29日・30日の開催に、高杉騎手の名前はありません。復帰から1週。乗り鞍は、また途切れました。
今回は、この状況をフリーという立場の仕組みから考えてみます。
6週間で、1鞍
まず、数字を並べておきます。
- 7月19日を最後にレース騎乗が途切れる
- 7月25日〜8月16日の4週間、騎乗なし
- 8月23日 中京6Rでミッキースターダムに騎乗し4着
- 8月29日・30日 騎乗なし
7月19日から数えて、およそ6週間で実戦は1鞍だけということになります。今年ここまで38勝を挙げていた騎手の数字としては、明らかに異常です。
内容が良くても、依頼はすぐには増えない
先週の騎乗は、決して悪い内容ではありませんでした。8番人気の馬で2コーナーから4コーナーまで先頭に立ち、直線で捉まってもなお勝ち馬と0秒2差。1番人気にも先着しています。
それでも、翌週の依頼にはつながりませんでした。ここには、フリーという立場の構造的な事情がいくつも重なっています。
依頼が決まるのは、レースを見る前
そもそも騎乗依頼は、レース当日よりかなり前の段階で動き始めます。日曜の走りを見てから翌週末の依頼を出す、という流れには、時間的な無理があります。先週の内容が評価されるとしても、それが形になるのはもう少し先ということになります。
一度途切れた流れは、戻しにくい
騎乗依頼は、継続的な関係の上に成り立っています。毎週乗っていれば、その週のうちに次の話が進む。逆に4週間空けば、その回路は一度止まります。止まった回路を動かし直すには、動かし続けるより手間がかかります。
エージェントの枠は限られている
以前の記事でも書きましたが、フリーの騎手の多くは騎乗依頼仲介者、いわゆるエージェントを通じて依頼を受けます。ただ1人のエージェントが担当できるのは3名まで、これに若手1名を加えて最大4名と定められています。
つまり、有力なエージェントの枠は基本的に埋まっています。フリーになった騎手が最初に直面するのは、しばしばこの現実的な問題です。
「何かある」と考える前に
こういう状況になると、どうしても「裏に何かあるのでは」という見方が出てきます。実際、そうした話はネット上に流れています。
ただ、ここまで挙げてきた事情だけでも、いまの状態は十分に説明がつきます。特別な事情を持ち出さなくても、フリー転向直後に依頼が積み上がらないことは起こり得る。それが制度の実態です。
もちろん、他に理由がないと断言することもできません。7月19日以降に騎乗が途切れた理由も、所属変更の理由も、いまだに何ひとつ公表されていません。それは、この6週間ずっと変わっていない事実です。
分からないものは、分からないままです。構造で説明できる部分と、説明できない部分を、混ぜないでおきたいと思います。
見るべきは、これから何週続くか
今週の1週だけを取り出しても、判断材料にはなりません。フリーの若手が、乗った翌週に乗り鞍を得られないことは普通にあります。
意味を持つのは、この先の数週間で騎乗数が戻っていくかどうかです。少しずつでも増えていけば、単に流れを立て直している途中だったということになります。逆に、また何週も空くようなら、それは別の話になってきます。
管理人のひとこと
先週、復帰の記事を書いたときに「答えは次の出馬表に出てきます」と結びました。出てきた答えが、ゼロだったわけです。
正直なところ、少し気持ちが沈みました。8番人気の馬で先頭に立って粘ったあの内容なら、次につながってもいいはずだと思っていたからです。ただ、それは外から見ている人間の感覚にすぎません。依頼を出すかどうかを決めるのは陣営であって、私たちではない。
フリーになるというのは、こういうことなのだと思います。所属していれば自動的に回ってきたものが、回ってこなくなる。実力があっても、内容が良くても、依頼という形で誰かに選ばれなければ、馬に乗れない。厳しい世界です。
それでも彼はまだ20歳で、通算160勝の実績があります。焦らずに、少しずつでいい。次の一鞍を待ちたいと思います。
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