ルメール騎手が、2027年から凱旋門賞にセン馬の出走を認める決定に反対の考えを示しました。欧州の生産者を中心に広がる反対署名に自らも賛同して署名し、10月10日に東京競馬場で「ナンセンスだね」とはっきり口にしています。この記事では、ルメール騎手が挙げた3つの理由と、議論の背景を整理します。
出来事の概要
ルメール騎手が反対署名に賛同
凱旋門賞(フランス・パリロンシャン競馬場、芝2400m)は、世界最高峰の芝のレースとして知られるGIです。これまで出走できるのは牡馬と牝馬に限られていましたが、今年8月の欧州パターン委員会(欧州の重賞の格付けなどを決める組織)で、2027年からセン馬(去勢された牡馬)も出走できることが承認されました。
この変更に対し、欧州の生産者の間では反対運動が広がっています。2020年の凱旋門賞馬ソットサスを生産したモンソー牧場の設立者、アンリ・ボゾ氏が10月からオンラインで反対の署名活動を始め、欧州最大の生産者・馬主グループであるクールモアも公式Xでこの活動を紹介しました。フランス出身のクリストフ・ルメール騎手もこれに賛同し、署名しています。
ルメール騎手が語った凱旋門賞への思い
東京競馬場で取材に応じたルメール騎手は、開口一番「良くないね」と渋い表情を見せました。そのうえで、凱旋門賞のセン馬開放に反対する理由を、出走頭数、若い馬のチャンス、生産者のビジネスという3つの面から説明しています。
背景にあるもの
ルメール騎手が挙げた3つの反対理由
1つ目は、すでに出走馬が十分に集まっているという点です。凱旋門賞は毎年20頭近くが出走し、レーティング(馬の能力を数値化した評価)でも世界のトップ3に入るレースです。ルメール騎手は、出走が5、6頭しかいないのならセン馬が入ってもいいが、という趣旨で、開放する必要はないと話しました。
2つ目は、3歳馬への影響です。セン馬は6、7歳まで長く走り続けて賞金を積み上げられるため、出走に必要な賞金のラインが上がり、「強い3歳馬のチャンスが減っちゃう」と懸念を示しました。
3つ目は、凱旋門賞が持つ繁殖面での意味です。ルメール騎手は「凱旋門賞はブリーディングのためのレース」と表現し、厳しい生産ビジネスにとって、このレースを勝つことが大きなチャンスになると強調しました。セン馬は子孫を残せないため、種牡馬や繁殖牝馬の価値を高める舞台としての役割が薄れることを心配しているわけです。
凱旋門賞のセン馬開放を整理
| これまで | 牡馬と牝馬のみ出走可能 |
| 変更内容 | 2027年からセン馬も出走可能(8月の欧州パターン委員会で承認) |
| 反対の動き | アンリ・ボゾ氏が10月からオンライン署名を開始、クールモアも紹介 |
| ルメール騎手 | 署名に賛同。10月10日に「ナンセンスだね」と反対を表明 |
今後どうなるか
セン馬を巡る議論の行方
ルメール騎手は、セン馬そのものを否定しているわけではありません。「セン馬は好きですよ」と語り、セン馬の名馬カランダガンを例に、勝てば素直に祝福する気持ちになるとも話しています。あくまで、繁殖のための大一番という凱旋門賞の性格を守るべきだという立場です。
日本でも、皐月賞や日本ダービーなどのクラシックレースはセン馬が出走できない仕組みになっており、「次の世代の種牡馬・繁殖牝馬を選ぶ」というレースの役割は共通しています。セン馬の開放はすでに承認されていますが、生産者の反対署名がどこまで広がるのか、そして2027年の実施に向けて何らかの動きが出てくるのか、今後の動向に注目です。この問題については、池江泰寿調教師が語った凱旋門賞のせん馬開放への思いも紹介しています。
押さえておきたいポイント
- 凱旋門賞は2027年からセン馬の出走が可能になることが8月に承認された
- 欧州の生産者を中心に反対署名が広がり、ルメール騎手も署名に賛同
- 反対理由は出走頭数の充足、3歳馬のチャンス減少、生産者への影響の3点
- セン馬自体は「好き」としつつ、凱旋門賞は繁殖のためのレースと強調
関連記事:凱旋門賞が歴史的転換、2027年からセン馬の出走解禁へ
管理人のひとこと
日本でもおなじみのルメール騎手が、母国フランスの象徴ともいえるレースについて、ここまではっきり意見を述べたことが印象的でした。セン馬への愛情を示しつつ、凱旋門賞の役割を守りたいという言葉には、競馬の世界をよく知る人ならではの重みがあります。開放はすでに承認されているだけに、この議論がどこへ向かうのか、静かに見守りたいと思います。
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