フォーエバーヤング(牡5歳、栗東・矢作芳人厩舎)が、12月29日の東京大賞典を最後に現役を退く予定であることが、11月8日に矢作調教師から明らかにされました。2歳でダートの頂点に立ち、海外でもサウジCやBCクラシックを勝った名馬は、どんな道のりを歩んできたのでしょうか。デビューから現在までの全17戦を、年ごとに振り返ります。
プロフィール
血統と生い立ち
フォーエバーヤングは2021年2月24日生まれ。北海道安平町のノーザンファームで生産されました。父はリアルスティール、母はフォエヴァーダーリング、母の父は米国のCongrats(コングラッツ)です。母は米国で走り、2016年のサンタイネスSを勝っています。
2022年のセレクトセール(日本最大の競走馬のせり市)で、藤田晋オーナーが落札しました。落札額は報道では9800万円、netkeibaの競走馬データでは税込みの1億780万円と記載されています。管理するのは栗東の矢作芳人調教師で、デビュー戦から全レースで坂井瑠星騎手が手綱を取ってきました。
| 生年月日 | 2021年2月24日(牡) |
| 父 | リアルスティール |
| 母(母の父) | フォエヴァーダーリング(Congrats) |
| 生産者 | ノーザンファーム(北海道安平町) |
| 馬主 | 藤田晋 |
| 調教師 | 矢作芳人(栗東) |
| 主戦騎手 | 坂井瑠星(全17戦騎乗) |
| 通算成績 | 17戦12勝[12-1-3-1](うちG1・JpnI 7勝) |
2歳〜3歳:世界へ羽ばたいた日々
2歳:無傷3連勝で2歳ダート王に
デビューは2023年10月14日、京都競馬場のダート1800mの新馬戦でした。2番人気で勝ち上がると、次は北海道・門別競馬場のJBC2歳優駿(JpnIII)へ。ここも1番人気に応えて重賞初制覇を果たします。
12月13日には川崎競馬場の全日本2歳優駿(JpnI)に出走し、大外12番から快勝しました。JpnIは日本独自の格付けで、国際的なG1に相当する最上位のランクです。3戦3勝でシーズンを終え、早くも世代のダートの主役に名乗りを上げました。
3歳:中東で連勝、ケンタッキーダービー3着
3歳になると、陣営は海外に目を向けます。2月24日のサウジダービー(G3、ダート1600m)、3月30日のUAEダービー(G2、ダート1900m)と、サウジアラビアとドバイの重賞を続けて勝ち、デビューからの連勝を5に伸ばしました。
5月4日には米国のチャーチルダウンズ競馬場で、3歳馬の最高峰とされるケンタッキーダービー(G1)に挑戦。20頭立ての大混戦で2番人気に支持され、3着に入りました。初めての敗戦でしたが、世界の舞台でも通用することを示した一戦です。
秋は国内に戻り、10月2日に大井競馬場のジャパンダートクラシック(JpnI)を勝利。続く11月のBCクラシック(G1、米デルマー競馬場)では古馬相手に1番人気で3着と健闘しました。そして12月29日、大井の東京大賞典(G1、ダート2000m)で古馬を破り、3歳のうちにこの年末の大一番を制しています。
4歳:世界の頂点へ
サウジCで世界最高賞金レースを制覇
2025年の始動戦は2月23日のサウジC(G1、ダート1800m)でした。世界最高クラスの賞金で知られるレースで、ここを勝って海外G1初制覇を飾ります。続く4月5日のドバイワールドC(G1)は単勝1.1倍の1番人気でしたが、3着に敗れました。
日本馬として初めてBCクラシックを勝つ
約半年の間隔を空け、秋は10月1日の日本テレビ盃(JpnII、船橋)を勝って米国へ向かいました。迎えた11月のBCクラシック(G1、デルマー)では、前年3着の雪辱を果たして優勝。日本馬のBCクラシック最高着順はこの1着で、日本調教馬として初めての制覇となりました。北米ダートの頂点に、日本の馬が初めて立った瞬間です。
5歳:連覇への挑戦
サウジC連覇とジョッキークラブGC快勝
2026年は2月15日のサウジCで連覇を達成して好スタートを切りました。3月29日のドバイワールドCは2着で、ドバイの大一番にはあと一歩届いていません。
その後は米国に渡り、約半年ぶりの実戦となったジョッキークラブゴールドカップ(G1、ベルモントパーク、ダート2000m)を快勝しました。2着馬に3馬身1/4差をつける完勝で、1着賞金は55万ドル(約8580万円)。総獲得賞金が50億円の大台を超えたのもこのレースです。詳しくはジョッキークラブGCの結果記事で紹介しています。
BCクラシック連覇はならず5着
大目標のBCクラシック(キーンランド競馬場)は、勝てば2000年・2001年のティズナウ以来、史上2頭目の連覇という大記録がかかった一戦でした。レース前の背景はBCクラシック連覇挑戦の記事にまとめています。
当日は1番人気に推され、好スタートから2番手につけましたが、直線で伸びを欠いて5着に終わりました。デビューから17戦目で、初めて3着以内を外したレースです。レースの詳細はBCクラシック2026結果をご覧ください。帰国後の様子は帰国・検疫の記事で伝えています。
全戦績一覧
netkeibaの競走馬データをもとにまとめました。日付は同データの表記で、海外レースは現地の日付と1日ずれる場合があります。
| 日付 | レース名 | 競馬場 | 距離 | 着順 | 騎手 |
| 2023年10月14日 | 2歳新馬 | 京都 | ダ1800m | 1着 | 坂井瑠星 |
| 2023年11月3日 | JBC2歳優駿(JpnIII) | 門別 | ダ1800m | 1着 | 坂井瑠星 |
| 2023年12月13日 | 全日本2歳優駿(JpnI) | 川崎 | ダ1600m | 1着 | 坂井瑠星 |
| 2024年2月24日 | サウジダービー(G3) | キングアブドゥルアジーズ | ダ1600m | 1着 | 坂井瑠星 |
| 2024年3月30日 | UAEダービー(G2) | メイダン | ダ1900m | 1着 | 坂井瑠星 |
| 2024年5月4日 | ケンタッキーダービー(G1) | チャーチルダウンズ | ダ2000m | 3着 | 坂井瑠星 |
| 2024年10月2日 | ジャパンダートクラシック(JpnI) | 大井 | ダ2000m | 1着 | 坂井瑠星 |
| 2024年11月3日 | BCクラシック(G1) | デルマー | ダ2000m | 3着 | 坂井瑠星 |
| 2024年12月29日 | 東京大賞典(G1) | 大井 | ダ2000m | 1着 | 坂井瑠星 |
| 2025年2月23日 | サウジC(G1) | キングアブドゥルアジーズ | ダ1800m | 1着 | 坂井瑠星 |
| 2025年4月5日 | ドバイワールドC(G1) | メイダン | ダ2000m | 3着 | 坂井瑠星 |
| 2025年10月1日 | 日本テレビ盃(JpnII) | 船橋 | ダ1800m | 1着 | 坂井瑠星 |
| 2025年11月1日 | BCクラシック(G1) | デルマー | ダ2000m | 1着 | 坂井瑠星 |
| 2026年2月15日 | サウジC(G1) | キングアブドゥルアジーズ | ダ1800m | 1着 | 坂井瑠星 |
| 2026年3月29日 | ドバイワールドC(G1) | メイダン | ダ2000m | 2着 | 坂井瑠星 |
| 2026年9月19日 | ジョッキークラブGC(G1) | ベルモントパーク | ダ2000m | 1着 | 坂井瑠星 |
| 2026年11月1日 | BCクラシック(G1) | キーンランド | ダ2000m | 5着 | 坂井瑠星 |
獲得賞金と記録
11月8日のスポーツ報知の報道(netkeiba掲載)によると、総獲得賞金は約50億5611万円です。同じ報道では、2位のウシュバテソーロ(26億131万1100円)に24億円以上の差をつけているとされています。賞金の大半は海外で稼いだもので、netkeibaの競走馬データ上の国内分は中央720万円、地方2億8700万円です。
記録の面では、2025年のBCクラシックで日本調教馬として初めて優勝したことが最大の勲章です。ほかにもサウジCを2025年・2026年と連覇し、BCクラシックには3年連続で出走して3着・1着・5着と、日本のダート馬の可能性を大きく広げました。G1・JpnIは計7勝を挙げています。
ラストランは東京大賞典
3歳で勝った思い出の大井へ
引退レースに選ばれたのは、12月29日に大井競馬場のダート2000mで行われる東京大賞典です。2024年に3歳で制した、思い出の舞台です。
矢作調教師は11月8日、東京競馬場で取材に応じ、「東京大賞典を目標にします。それで引退します」と話しました。現在は千葉県白井で検疫中のため、検疫明けの状態を確かめたうえでの判断で、状態が上がらなかったり脚元に少しでも不安が出たりすれば、その時点で引退する考えも示しています。
この舞台を選んだ理由について、矢作調教師は日本のファンに姿を見せたいというオーナーと厩舎の思いを挙げ、「あれだけ稼いでいるのだからお金じゃない」と語りました。有馬記念での芝挑戦も選択肢にありましたが、馬に負担をかけられないとして選ばなかったと報じられています。引退後は種牡馬入りすることが決まっていると伝えられています。発表の詳しい内容は東京大賞典での引退表明の記事でお伝えしています。
押さえておきたいポイント
- デビューから全17戦で坂井瑠星騎手が騎乗し、17戦12勝(G1・JpnI 7勝)
- 2歳で全日本2歳優駿を勝ち、3歳では中東の重賞連勝とケンタッキーダービー3着
- 2025年のBCクラシックで日本調教馬として初優勝、サウジCは2連覇
- 総獲得賞金は約50億5611万円(11月8日の報道時点)
- ラストランは2024年に勝った東京大賞典(12月29日、大井ダート2000m)の予定
管理人のひとこと
全17戦を並べてみると、3着以内を外したのが最後のBCクラシックだけという安定感にあらためて驚かされます。2歳の門別や川崎から、サウジ、ドバイ、そしてアメリカまで、いつも坂井騎手と一緒に走り続けてくれました。ラストランの大井では、勝ち負け以上に元気な姿を見せてくれることを願っています。最後はたくさんの拍手で送り出したいですね。
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