春古馬三冠とは、大阪杯・天皇賞(春)・宝塚記念の3つのG1を同じ年にすべて勝つことを指します。大阪杯がG1に昇格した2017年から形が整った比較的新しい三冠で、JRAは達成馬に内国産馬で3億円の褒賞金を設けていますが、2026年まで達成馬は出ていません。対象レースの特徴、G1昇格前の扱い、あと一歩に迫った馬たちを解説します。
春古馬三冠とは
春の古馬中長距離G1を3つ続けて勝つ
古馬とは4歳以上の馬のことです。春古馬三冠は、4月の大阪杯、5月の天皇賞(春)、6月の宝塚記念という、春に行われる古馬の芝中長距離G1を、同じ年にすべて勝つことを意味します。3歳馬の三冠と違い、何度でも挑戦できるのが特徴です。一方で、2000m、3200m、2200mと距離がばらばらなうえ、約2か月半の間に3戦するため、得意な距離の幅と体調を保つ力の両方が求められます。
3歳の牡馬が挑む皐月賞・日本ダービー・菊花賞の三冠については、クラシックとは?G1とは何が違うのかを解説した記事で紹介しています。
春古馬三冠の対象レース
| レース | 時期 | 競馬場・距離 | 出走条件 |
| 大阪杯 | 4月 | 阪神・芝2000m | 4歳以上 |
| 天皇賞(春) | 5月 | 京都・芝3200m | 4歳以上 |
| 宝塚記念 | 6月 | 阪神・芝2200m | 3歳以上 |
天皇賞(春)は京都競馬場の改修工事のため2021年と2022年は阪神で、宝塚記念は阪神のスタンド改修のため2024年は京都で行われました。宝塚記念は、年末の有馬記念と同じくファン投票で出走馬が選ばれる「グランプリ」でもあります。
大阪杯のG1昇格と三冠の成り立ち
G1昇格前の大阪杯はG2の前哨戦
大阪杯は1957年に創設された歴史あるレースです。創設当初は阪神の芝1800mで行われ、1972年に現在の2000mになりました。1984年のグレード制導入ではG2に格付けされ、長く「産経大阪杯」の名前で親しまれてきました。この時代の春の古馬の芝中長距離G1は天皇賞(春)と宝塚記念の2つで、大阪杯はそこへ向かう実力馬の始動戦という位置づけでした。
流れが変わったのは2017年です。春の古馬の中距離路線をさらに充実させるため、大阪杯はG1に格上げされ、名前も「大阪杯」に改められました。これで春の古馬の芝中長距離G1は中距離の大阪杯、長距離の天皇賞(春)、締めくくりの宝塚記念という3本立てになり、この3つをまとめて「春古馬三冠」と呼ぶようになりました。
G1昇格前に天皇賞(春)と宝塚記念を勝った馬
大阪杯がG2だった時代は、天皇賞(春)と宝塚記念の春のG1・2勝が大きな勲章でした。グレード制が導入された1984年以降で、同じ年にこの2つを勝ったのは次の6頭です。
| 年 | 馬名 |
| 1988年 | タマモクロス |
| 1989年 | イナリワン |
| 1994年 | ビワハヤヒデ |
| 2000年 | テイエムオペラオー |
| 2003年 | ヒシミラクル |
| 2006年 | ディープインパクト |
達成馬とJRAの褒賞金
G1昇格後の達成馬はまだいない
大阪杯がG1になった2017年から2026年まで、春古馬三冠を達成した馬はいません。3つのうち2つを勝った馬は、次の3頭です。
| 年 | 馬名 | 勝ったレース | 残る1つの勝ち馬 |
| 2017年 | キタサンブラック | 大阪杯・天皇賞(春) | 宝塚記念:サトノクラウン |
| 2022年 | タイトルホルダー | 天皇賞(春)・宝塚記念 | 大阪杯:ポタジェ |
| 2026年 | クロワデュノール | 大阪杯・天皇賞(春) | 宝塚記念:メイショウタバル |
2026年のクロワデュノールは、大阪杯でメイショウタバルを2着に退け、天皇賞(春)も制して宝塚記念に挑みました。ファン投票でも1位に支持されましたが、レース直前の豪雨で馬場が渋るなか、先行したメイショウタバルを捕らえきれず、クビ差の2着に終わっています。そのときの様子は【宝塚記念】クロワデュノールがクビ差2着 春古馬三冠ならずで、勝ったメイショウタバル側の話題は【宝塚記念2026】メイショウタバルが史上3頭目の連覇達成で紹介しています。
褒賞金は内国産馬3億円
JRAの「同一年度に本会が定める競走に優勝した馬に対する褒賞金交付基準」では、同じ年度に大阪杯・天皇賞(春)・宝塚記念のすべてに優勝した馬に、内国産馬(日本で生まれた馬)なら3億円、外国産馬なら1億5,000万円の褒賞金を交付すると定めています。内国産馬の場合は、条件を満たす生産牧場にもその5%にあたる額が交付されます。この基準は大阪杯がG1になったのと同じ2017年1月1日にも改正されています。
2025年1月1日に改正された現行の基準では、春の3競走に秋の天皇賞(秋)・ジャパンカップ・有馬記念を加えた6競走のうち、同じ年度に3競走を勝った馬にも、内国産馬2億円、外国産馬1億円の褒賞金が設けられています。春秋どちらかの三冠をそろえなくても、たとえば春に2勝した馬が秋に1勝すれば対象になる仕組みです。
今後の春古馬三冠
春2勝のクロワデュノールは秋へ
大阪杯と天皇賞(春)を勝ったクロワデュノールは、11月1日の第174回天皇賞(秋)に登録しており、陣営の動きはクロワデュノールの天皇賞(秋)に向けた記事で紹介しています。基準の上では、秋の3競走のうち1つを勝てば、6競走のうち3勝の褒賞金の対象になる計算です。春古馬三冠そのものへの挑戦は、2027年以降の大阪杯から再び始まります。
押さえておきたいポイント
- 春古馬三冠は大阪杯・天皇賞(春)・宝塚記念を同じ年にすべて勝つこと
- 大阪杯は1984年からG2、2017年にG1へ昇格し、春の古馬の芝中長距離G1が3本立てになった
- 2017年以降の達成馬はおらず、2026年のクロワデュノールは宝塚記念でクビ差2着
- JRAの褒賞金は内国産馬3億円、外国産馬1億5,000万円
ほかのG1・三冠・サマーシリーズの解説は、JRAのG1・シリーズ解説まとめから一覧で読めます。
管理人のひとこと
2000mの大阪杯から3200mの天皇賞(春)、そして梅雨どきの宝塚記念と、条件がまったく違う3戦を勝ち切るのは想像以上に難しいのだと、クロワデュノールのクビ差を見て痛感しました。だからこそ、最初の達成馬が現れたときの感動は大きいはずです。春の古馬戦線を見るときは、この三冠の行方にもぜひ注目してみてください。
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