中山グランドジャンプは、毎年4月に中山競馬場の障害4260mで行われる、障害レースの最高峰J・GIです。前身は1934年に始まった「中山大障害」で、高さ1.6mの大竹柵や大いけ垣を越える名物コースが舞台になります。障害レースの基本用語から、歴史、コースの特徴、過去10年の勝ち馬と記録までをまとめました。
中山グランドジャンプとは
障害レースの頂点に立つJ・GI「中山グランドジャンプ」
障害レースは、コースに置かれた柵や垣根を飛び越えながらゴールを目指す競走です。平地のレースと区別するため、障害の重賞はグレードの前に「J」(Jump=飛越)を付けて「J・GI」「J・GII」のように表します。JRAの障害J・GIは、春の中山グランドジャンプと暮れの中山大障害の2つだけです。
中山グランドジャンプに出走できるのは4歳以上の馬で、負担重量は年齢と性別で決まる「定量」(牡馬は63kg)です。国際競走として行われ、2026年の1着本賞金は7000万円でした。優先出走権が与えられるトライアルはなく、前年暮れの中山大障害や、小倉ジャンプS、阪神スプリングジャンプ、ペガサスジャンプSなどを経て出走馬がそろいます。
なお、障害レースに乗る騎手は、平地とは別に障害の騎乗免許を持っています。障害を専門にする騎手も多く、飛越のうまさと長丁場を乗り切るペース判断が、人馬ともに問われます。
中山グランドジャンプの基本データ
| 前身 | 中山大障害(1934年創設、春と秋の年2回) |
| 現在の名称 | 1999年から(同時にJ・GIに格付け) |
| 条件 | 障害4歳以上オープン・国際・定量 |
| コース | 中山競馬場・障害4260m(芝・外回り) |
| 2026年 | 4月18日(土)・第28回 |
歴史と名前の由来
日本ダービーに並ぶ名物レースを目指した中山大障害
中山グランドジャンプのルーツは、1934年に中山競馬倶楽部の理事長だった肥田金一郎氏がつくった「中山大障害」です。東京競馬場の日本ダービーに負けない、中山の看板レースにしようという狙いがありました。創設当時は今より大きな障害を使い、10回の飛越に加えて坂路を6回上り下りする、非常に厳しいレースだったとされています。距離はその後何度か変わり、1972年秋に創設時と同じ4100mへ戻りました。
1999年に春の中山大障害が独立
中山大障害は長く春と秋の年2回行われていましたが、障害レースにグレード制が導入された1999年、春の競走が「中山グランドジャンプ」と名前を変え、J・GIとして再出発しました。グランド(Grand)は「壮大な」、ジャンプ(Jump)は「飛越」を意味する英語です。翌2000年からは国際競走になり、2002年のセントスティーヴン(オーストラリア)、2005年から3連覇したカラジ(オーストラリア)、2013年のブラックステアマウンテン(アイルランド)と、外国調教馬が3頭優勝しています。
距離は第1回と第2回が4100m、2001年から4250mに延び、2025年からは使用するコースの変更により4260mで行われています。
中山障害4260mの特徴
襷コースで大竹柵と大いけ垣を越える
レースは向正面からスタートし、障害コースを4分の3周したあと、コースの内側を斜めに横切る「襷(たすき)コース」へ入ります。襷コースは通称「大障害コース」とも呼ばれ、使われるのは中山グランドジャンプと中山大障害の年2回だけです。馬は逆八の字を描くように襷コースを2回通り、1回目は大竹柵、2回目は大いけ垣という、ほかの競馬場にはない大きな障害に挑みます。最後は芝の外回りに合流しますが、ゴールまでにまだ3つの障害が残っています。
JRAによると、飛越は合計12回、深い谷を下って上る「バンケット」も5回あります。中山競馬場は全体の高低差がJRA10場で最も大きく、その起伏が障害コースにも生かされています。スタミナだけでなく、最後まで集中を切らさない精神力も試される舞台です。
中山の主な障害と用語
| 大竹柵(6号障害) | 竹を束ねた柵の大型版。高さ1.6m・幅2.05m |
| 大いけ垣(7号障害) | 植木を刈り込んだ垣根(生け垣)の大型版。高さ1.6m・幅2.4m |
| 水ごう(1号障害) | いけ垣の先に水をたたえた堀がある障害。幅3.7m |
| バンケット(坂路) | コース内の深い「谷」を下って上る起伏。最大で高さ5.3m |
| 襷コース | 内馬場を斜めに横切る障害専用の走路。年2回の大レースだけで使用 |
過去10年の勝ち馬と記録
中山グランドジャンプ過去10年の勝ち馬
| 年 | 勝ち馬 | 騎手 | タイム |
| 2026年 | エコロデュエル | 草野太郎 | 4分49秒0 |
| 2025年 | エコロデュエル | 草野太郎 | 4分50秒5 |
| 2024年 | イロゴトシ | 黒岩悠 | 4分47秒2 |
| 2023年 | イロゴトシ | 黒岩悠 | 4分54秒1 |
| 2022年 | オジュウチョウサン | 石神深一 | 4分52秒3 |
| 2021年 | メイショウダッサイ | 森一馬 | 4分50秒1 |
| 2020年 | オジュウチョウサン | 石神深一 | 5分02秒9 |
| 2019年 | オジュウチョウサン | 石神深一 | 4分47秒6 |
| 2018年 | オジュウチョウサン | 石神深一 | 4分43秒0 |
| 2017年 | オジュウチョウサン | 石神深一 | 4分50秒8 |
2025年から距離が4260mに変わっているため、2024年以前とはタイムを単純に比べられない点に注意してください。
オジュウチョウサンの6勝と連覇の記録
このレースの歴史を語るうえで欠かせないのがオジュウチョウサンです。2016年から2020年まで5連覇し、1年おいた2022年にも勝って通算6勝。すべて石神深一騎手とのコンビでした。2018年に記録した4分43秒0は、4250m時代のレースレコードです。オジュウチョウサンは中山大障害と合わせてJ・GIを9勝し、2026年には障害馬として久々のJRA顕彰馬に選ばれています。
ほかにも、カラジの3連覇(2005〜2007年)、ゴーカイ(2000・2001年)、イロゴトシ(2023・2024年)、エコロデュエル(2025・2026年)の連覇があり、同じ馬が繰り返し勝ちやすいのもこのレースの特徴です。
2026年の中山グランドジャンプ
エコロデュエルがレコードで連覇
2026年の第28回は4月18日に行われ、1番人気のエコロデュエル(草野太郎騎手)が4分49秒0のレコードタイムで勝ち、連覇を果たしました。2着のディナースタには大差をつける完勝でした。エコロデュエルは2025年に中山グランドジャンプと中山大障害をともに制しており、障害界の主役として存在感を示しています。
関連記事:【引退】障害の名手・石神深一騎手が4月30日で引退へ オジュウチョウサンと歩んだ絶対王者の軌跡
押さえておきたいポイント
- 中山グランドジャンプは春の障害J・GIで、前身は1934年創設の中山大障害
- 1999年に現在の名前とJ・GIの格付けになり、2000年から国際競走
- 襷コースで大竹柵と大いけ垣を越え、飛越は12回、バンケットは5回
- オジュウチョウサンが6勝、2026年はエコロデュエルがレコードで連覇
ほかのG1・三冠・サマーシリーズの解説は、JRAのG1・シリーズ解説まとめから一覧で読めます。
管理人のひとこと
大竹柵や大いけ垣に向かっていく馬たちの姿は、平地のレースとはまったく違う迫力があり、見ているこちらも思わず力が入ります。約4キロを走り切ってゴールした人馬には、着順に関係なく拍手を送りたくなります。オジュウチョウサンが築いた歴史に、エコロデュエルたちがどんな続きを書いていくのか、これからも楽しみに見守りたいです。
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