菊花賞は、3歳馬によるクラシック三冠の最終戦で、毎年10月に京都競馬場の芝3000mで行われるG1です。1938年に始まった長い歴史を持ち、三冠レースで最も長い距離を走る一戦です。歴史と名前の由来、京都芝3000mのコースの特徴、過去10年の勝ち馬と歴代の三冠馬をまとめました。
菊花賞とは
クラシック三冠の最終関門「菊花賞」
菊花賞は、イギリスの「セントレジャー」にあたるレースで、皐月賞、日本ダービーに続くクラシック三冠の最後の一戦です。出走できるのは3歳の牡馬と牝馬で、負担重量は年齢で決まる「馬齢重量」。三冠レースの中で唯一秋に行われ、距離も3000mと最も長くなります。クラシックの仕組みについては【クラシックとは?】G1とは何が違う?一生に一度の晴れ舞台「クラシック三冠」を完全解説で詳しく紹介しています。
日本ダービーから約5か月の間隔があるため、春のクラシックで活躍した馬と、ひと夏を越して力をつけた馬との対決も見どころです。前哨戦(トライアル)は、中山の朝日杯セントライト記念(G2)と阪神の神戸新聞杯(G2)で、どちらも3着以内に入った馬に菊花賞への優先出走権が与えられます。
菊花賞の基本データ
| 創設 | 1938年(京都農林省賞典四歳呼馬)、1948年から「菊花賞」 |
| 条件 | 3歳オープン(牡・牝)・馬齢重量 |
| コース | 京都競馬場・芝3000m(外回り) |
| 優先出走権 | セントライト記念3着以内、神戸新聞杯3着以内 |
| 国際化 | 2001年から外国産馬が出走可能、2010年から国際競走 |
| 2026年 | 10月25日・第87回、ゴーイントゥスカイ(武豊騎手)が優勝 |
歴史と名前の由来
1938年に「京都農林省賞典四歳呼馬」として誕生
1937年、全国11の競馬倶楽部が日本競馬会に統合され、一つの方針のもとで競馬が行われるようになりました。その翌年の1938年12月、「京都農林省賞典四歳呼馬」という名前で行われたのが菊花賞の第1回です。国営競馬の時代だった1948年から、現在の「菊花賞」という名前になっています。
第1回から距離は3000m、舞台は京都競馬場で変わっていません。例外は、スタンドの改築工事などで阪神競馬場で行われた1979年、2021年、2022年の3回だけです。
名前の由来は「菊の花」
菊花(きくか)は、文字どおり菊の花のことです。菊は世界に1万種以上あるともいわれるキク科の多年草で、花言葉は「高貴」「高尚」。秋に咲く菊の名を冠した、秋のクラシックらしい名前です。
京都芝3000mの特徴
坂を2度越える長丁場、騎手の腕も問われる
舞台は京都の芝3000m外回りコースです。スタートは3コーナーの手前で、すぐに上り坂に差しかかります。京都の3コーナーにある坂を2度越えるのが、このコースの大きな特徴です。
| スタート地点 | 3コーナー手前(スタート後まもなく上り坂) |
| 1周目 | スタンド前を通過、歓声の中で折り合いが大切 |
| 2周目 | 3コーナーの坂を再び上って下り、勢いをつけて4コーナーへ |
| 最後の直線 | 403.7m(Aコース)、398.7m(B・C・Dコース) |
1周目のスタンド前では、大きな歓声の中で馬を落ち着かせ、ゆったり走らせることが求められます。1、2コーナーでペースが緩み、2周目の向正面では早めに動き出す馬も出てきます。2度目の坂の下りはスピードに乗ったまま進むため、仕掛けのタイミングや4コーナーのコース取りなど、騎手の技術と判断が結果を大きく左右します。かつては3コーナーの坂は「ゆっくり上ってゆっくり下る」のがセオリーとされていましたが、1983年のミスターシービーはその坂を加速しながら上がっていき、三冠を決めました。
過去10年の勝ち馬と記録
菊花賞過去10年の勝ち馬
| 年 | 勝ち馬 | 騎手 |
| 2026年 | ゴーイントゥスカイ | 武豊 |
| 2025年 | エネルジコ | C.ルメール |
| 2024年 | アーバンシック | C.ルメール |
| 2023年 | ドゥレッツァ | C.ルメール |
| 2022年 | アスクビクターモア | 田辺裕信 |
| 2021年 | タイトルホルダー | 横山武史 |
| 2020年 | コントレイル | 福永祐一 |
| 2019年 | ワールドプレミア | 武豊 |
| 2018年 | フィエールマン | C.ルメール |
| 2017年 | キセキ | M.デムーロ |
この10年ではC.ルメール騎手が4勝、武豊騎手が2勝しています。2021年と2022年は阪神競馬場での開催でした。武豊騎手は2026年の勝利で、史上最多となる菊花賞6勝目を挙げました。
クラシック三冠を達成した8頭
皐月賞、日本ダービー、菊花賞の三冠をすべて制したのは、これまでに8頭です。三冠の2戦目・日本ダービーについては日本ダービー(東京優駿)とは?ホースマンの夢の舞台、歴史と東京芝2400mの特徴を解説もあわせてどうぞ。
| 年 | 三冠馬 |
| 1941年 | セントライト |
| 1964年 | シンザン |
| 1983年 | ミスターシービー |
| 1984年 | シンボリルドルフ |
| 1994年 | ナリタブライアン |
| 2005年 | ディープインパクト |
| 2011年 | オルフェーヴル |
| 2020年 | コントレイル |
このうちシンボリルドルフ、ディープインパクト、コントレイルの3頭は、無敗で三冠を達成しました。コントレイルは父ディープインパクトに続く無敗の三冠馬で、父子での無敗三冠は日本競馬史上唯一の記録です。
2026年の菊花賞
ゴーイントゥスカイがハナ差V、ロブチェンは14着
第87回となった2026年は10月25日に行われました。皐月賞と日本ダービーを勝ったロブチェンが史上9頭目の三冠をかけて単勝1.8倍の1番人気に支持されましたが、14着に敗れました。勝ったのは3番人気のゴーイントゥスカイで、中団から馬群の間を伸び、大外から迫ったバステールをハナ差しのいで優勝。勝ちタイムは3分4秒5でした。各陣営のレース後の声は菊花賞2026回顧 各陣営のレース後コメントまとめ ゴーイントゥスカイV、ロブチェン14着でまとめています。
押さえておきたいポイント
- 1938年に始まったクラシック三冠の最終戦で、三冠レースで唯一の秋開催
- セントライト記念と神戸新聞杯の3着以内に優先出走権
- 京都芝3000mは坂を2度越える長丁場で、折り合いと仕掛けどころが鍵
- 三冠馬は8頭、武豊騎手は2026年に菊花賞最多の6勝目
ほかのG1・三冠・サマーシリーズの解説は、JRAのG1・シリーズ解説まとめから一覧で読めます。
管理人のひとこと
3000mという、3歳馬にとって未知の距離で争われる菊花賞は、スタミナだけでなく騎手と馬の呼吸がよく見えるレースだと思います。2026年は三冠をかけたロブチェンの敗戦に驚かされましたが、武豊騎手とゴーイントゥスカイの見事な騎乗に、この舞台ならではの奥深さを改めて感じました。春から秋へ、ひとつの世代の物語が完結する瞬間を、これからも大切に見届けたいです。
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