『週刊文春』による預託馬の死亡事故と不適切行為の報道で、現在SNSを中心に大きな波紋を呼んでいる神奈川県横浜市の「アシエンダ乗馬学校」。
動物愛護の観点から批判が殺到していますが、なぜこのニュースが乗馬・馬術界隈においてこれほどの「衝撃」をもって受け止められているのでしょうか。 その理由は、同クラブが単なる街の乗馬教室ではなく、日本国内でもトップクラスの**「超名門・セレブ御用達クラブ」**であったという背景にあります。報道の舞台となっている施設の概要をフラットにまとめました。
1. 舞台は横浜。まるで海外リゾートのような高級乗馬クラブ
「アシエンダ乗馬学校(旧称:アシェンダ乗馬学校)」は、神奈川県横浜市瀬谷区の閑静な住宅街の一角にあります。 1967年に前身となる「北井厩舎」として設立され、半世紀以上の歴史を持ちます。クラブの最大の特徴は、富と権力の象徴である「荘園」を意味するスペイン語「アシエンダ」の名にふさわしい、洗練されたヨーロピアンな施設です。 重厚な暖炉のあるラウンジ、淹れたてのコーヒーや世界のワインを楽しめるバーエリア、そして天候に左右されない全天候型屋内馬場を完備しており、日本の乗馬クラブの中でも群を抜いて高級感のある空間として知られています。
2. 超高額な費用体系:月額数十万に上る「自馬」の預託費
同クラブが「セレブ御用達」と呼ばれる所以は、その圧倒的に高額な料金体系にあります。 文春の報道や各種情報によると、入会金だけで30万円。さらに自分の馬(自馬)を購入してクラブに預ける場合、入厩料として30万円、毎月の預託料として基本料金だけで月額21万円がかかるとされています。
これに加え、日々のプロによる調教料、ドイツ人獣医師などによる高度な馬体検査費、飼料代などが加算されるため、実際に馬を維持するには莫大な資金が必要です。限られた富裕層だけが足を踏み入れることができる、極めてクローズドでハイステータスな空間であることが分かります。
3. 五輪代表のトップライダーが牽引する「絶対的指導力」
この名門クラブを技術面・運営面で牽引している象徴的な存在が、創設者の長女であり、2008年北京オリンピック、2016年リオデジャネイロオリンピックの馬場馬術(ドレッサージュ)日本代表である北井裕子氏です。
同氏は国内外で輝かしい実績を残すトップライダーであり、アシエンダ乗馬学校はこれまでにもアジア競技大会などへ優秀な選手を数多く輩出してきた「エリート養成機関」としての側面も持っています。 今回の騒動で「行き過ぎた調教があったのではないか」と疑念の目を向けられているのは、他でもないこのオリンピアンの指導体制そのものであり、だからこそ業界内に激震が走っているのです。
まとめ:名門ゆえの「密室性」が問われる事態に
超一流の設備、超高額な預託費、そしてオリンピック代表選手によるトップレベルの指導。アシエンダ乗馬学校は、間違いなく日本の馬術界を牽引してきた名門クラブの一つでした。
しかし、その圧倒的な権威やクローズドな会員制という性質が、皮肉にも「密室での不透明な管理」や「物言えぬ空気(箝口令)」を生み出してしまったのではないか、というのが今回の文春報道が投げかけている最大の争点です。
高いステータスと実績を持つ名門クラブで、本当に馬の命を軽視するような行為が行われていたのか。それとも不運な事故が誤解を生んでいるのか。 前回の記事でも触れた通り、感情的なバッシングは避け、大学機関による解剖結果や関係各所の公式な調査結果を冷静に待つ必要があります。



コメント