牝馬三冠とは、3歳牝馬が桜花賞・オークス(優駿牝馬)・秋華賞の3つのG1をすべて勝つことを指します。1995年までは三冠目がエリザベス女王杯で、達成馬はJRAの歴史でもわずか7頭です。この記事では、対象レースと三冠目の移り変わり、歴代の達成馬、JRAの褒賞金までをまとめて解説します。
牝馬三冠とは
3歳牝馬だけが挑める3つのG1
牝馬三冠は、同じ年に3歳を迎えた牝馬(メスの馬)だけが出走できる3つのG1を、すべて勝つことを意味します。春の阪神で行われる桜花賞がスピード、東京の2400mで争うオークスがスピードに加えてスタミナを試す舞台で、秋の京都で行われる秋華賞が締めくくりの一戦です。どの馬にとっても挑戦できるのは一生に一度だけなので、1つ勝つだけでも大きな勲章になります。
3歳馬の大レースといえば牡馬の皐月賞・日本ダービー・菊花賞がよく知られていますが、こちらの成り立ちや「クラシック」という言葉の意味はクラシックとは?G1とは何が違うのかを解説した記事にまとめています。この記事では牝馬側の三冠に絞って見ていきます。
牝馬三冠の対象レース
| レース | 時期 | 競馬場・距離 | 創設 |
| 桜花賞 | 4月 | 阪神・芝1600m | 1939年(中山4歳牝馬特別競走) |
| オークス(優駿牝馬) | 5月 | 東京・芝2400m | 1938年(阪神優駿牝馬) |
| 秋華賞 | 10月 | 京都・芝2000m | 1996年 |
桜花賞の上位5頭にはオークスへの優先出走権が与えられ、春の2戦は直結しています。1600mから2400mへ一気に距離が延びるため、スピードとスタミナを両立できる馬でなければ2冠目には届きません。
三冠目の変遷 エリザベス女王杯から秋華賞へ
ビクトリアカップとエリザベス女王杯の時代
桜花賞とオークスはどちらも戦前から続く伝統のレースです。オークスは1938年に秋のレースとして始まり、1946年に東京競馬場へ移って現在の名称となり、1953年から春に行われるようになりました。一方で、秋の三冠目ができたのはずっと後のことです。1970年、3歳牝馬三冠の最終戦として京都で「ビクトリアカップ」が創設されました。1975年にエリザベス女王が来日したことを記念して、翌1976年に「エリザベス女王杯」へと名前が改められています。当時は京都の芝2400mで行われ、出走できるのは3歳牝馬だけでした。
その後、古馬(4歳以上)の牝馬が目標にできる大レースを整える流れの中で、1996年にエリザベス女王杯は3歳以上の牝馬が出走できるレースに変わり、距離も2200mに短縮されます。これにより三冠目の役割を引き継ぐ形で新設されたのが秋華賞です。秋華賞は創設以来京都の芝2000mで行われていますが、京都競馬場の改修工事にともない、2021年と2022年は阪神競馬場で行われました。エリザベス女王杯の歴史やコースの特徴はエリザベス女王杯とは?を解説した記事で詳しく紹介しています。
牝馬三冠の三冠目の移り変わり
| 1970〜1975年 | ビクトリアカップ(京都・芝2400m) |
| 1976〜1995年 | エリザベス女王杯(京都・芝2400m、3歳牝馬限定) |
| 1996年〜 | 秋華賞(京都・芝2000m) |
歴代の牝馬三冠馬と褒賞金
牝馬三冠を達成した7頭
JRAが牝馬三冠馬として挙げているのは、次の7頭です。三冠目のレースと、そのときの騎手もあわせて整理しました。
| 年 | 馬名 | 三冠目 | 三冠目の騎手 |
| 1986年 | メジロラモーヌ | エリザベス女王杯 | 河内洋 |
| 2003年 | スティルインラブ | 秋華賞 | 幸英明 |
| 2010年 | アパパネ | 秋華賞 | 蛯名正義 |
| 2012年 | ジェンティルドンナ | 秋華賞 | 岩田康誠 |
| 2018年 | アーモンドアイ | 秋華賞 | C.ルメール |
| 2020年 | デアリングタクト | 秋華賞 | 松山弘平 |
| 2023年 | リバティアイランド | 秋華賞 | 川田将雅 |
エリザベス女王杯が三冠目だった時代の達成馬は、1986年のメジロラモーヌただ1頭です。秋華賞ができてからは6頭が続き、2010年のアパパネはオークスをサンテミリオンと1着同着で制しての三冠でした。2020年のデアリングタクトは、無敗のまま三冠を達成した初めての牝馬です。
2冠で止まった名牝たち
三冠の難しさは、2冠馬の多さからも分かります。2009年のブエナビスタと2022年のスターズオンアースは桜花賞とオークスを勝ちましたが、秋華賞はそれぞれレッドディザイア、スタニングローズが制しました。2025年はエンブロイダリーが桜花賞と秋華賞を勝ちましたが、オークスはカムニャックが勝っています。
JRAの褒賞金は1億円
JRAは「同一年度に本会が定める競走に優勝した馬に対する褒賞金交付基準」で、桜花賞・優駿牝馬・秋華賞のすべてに優勝した内国産馬(日本で生まれた馬)に1億円の褒賞金を交付すると定めています。受け取るのは達成時の馬主で、これとは別に、条件を満たす生産牧場にもその5%にあたる額が交付される仕組みです。
近年の牝馬三冠戦線
2026年は3つのG1を別々の馬が制覇
2026年は桜花賞をスターアニス、オークスをジュウリョクピエロが勝ち、三冠の権利を持つ馬がいないまま秋を迎えました。秋華賞はモンローウォークが勝ち、3つのG1をすべて違う馬が分け合う形になっています。秋華賞のレース内容は秋華賞2026はモンローウォークが無傷5連勝で紹介しています。
押さえておきたいポイント
- 牝馬三冠は桜花賞・オークス・秋華賞の3つのG1をすべて勝つこと
- 1970〜1975年はビクトリアカップ、1976〜1995年はエリザベス女王杯が三冠目だった
- 達成馬はメジロラモーヌからリバティアイランドまでの7頭
- JRAは三冠を達成した内国産馬に1億円の褒賞金を設けている
ほかのG1・三冠・サマーシリーズの解説は、JRAのG1・シリーズ解説まとめから一覧で読めます。
管理人のひとこと
春の桜から秋の京都まで、半年かけて3つの舞台を勝ち切るのは本当に大変なことだと、歴代7頭の顔ぶれを見てあらためて感じます。2冠まで来ながら届かなかった名牝が何頭もいることも、この記録の重みを物語っていますね。次に8頭目が現れるのはいつになるのか、毎年の春が来るたびにわくわくしながら見守りたいと思います。
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