管理人です。
函館で起きた交通事故から、数日が経ちました。JRAの舟山瑠泉騎手が運転する車と対向車が衝突し、相手の車を運転していた50代の男性が亡くなった事故です。
あれから、ネット上ではさまざまな話が飛び交っています。事故の状況を具体的に語るもの、どちらに非があったかを断じるもの、なかには捜査に関わる情報を持っているかのように話す人まで現れています。
今回は、いま出回っている話をどう受け止めるべきかについて書きます。結論から言えば、正式な発表を待つ以外にありません。
公表されていることは、驚くほど少ない
まず、報道で確認できることを並べます。
- 8月19日の午後8時30分ごろ、函館市の国道278号にある丁字路交差点で衝突事故が起きた。
- 直進していた車を運転していたのが舟山瑠泉騎手(20)。車はレンタカーだった。
- 対向から右折しようとしていた車の50代男性が、搬送先の病院で亡くなった。
- 舟山騎手も負傷したが、命に別条はない。
- 警察が事故の原因を調査中。
以上です。信号がどうだったのか、それぞれの速度はどうだったのか、見通しはどうだったのか。過失の判断を左右する情報は、ひとつも出ていません。
なぜ、何も出てこないのか
情報が出てこないことに、もどかしさを感じる方もいるかもしれません。ただ、これは隠されているわけではなく、そういう手続きだからです。
人が亡くなった交通事故では、警察が現場の実況見分を行い、車両の状態を調べ、関係者から話を聞き、それらを突き合わせて原因を明らかにしていきます。その過程の内容が途中で公表されることは、基本的にありません。途中経過が独り歩きすれば、捜査そのものにも、関係する人たちにも影響が出るからです。
そして、この手続きには時間がかかります。数日で結論が出るようなものではありません。いま情報が出ていないのは、当たり前のことなのです。
「知っている」と語る人について
ここが今回いちばん書きたかった部分です。
公表されていない情報を「知っている」と語る人が出てきたとき、その話には二つの可能性しかありません。本当は知らないか、あるいは本来出てはいけない経路で知ったかです。
前者であれば、単なる作り話です。後者だとすれば、それはそれで問題があります。どちらにしても、私たちが信じてよい理由にはなりません。
発信者に知名度があると、話の重みが変わって聞こえます。競馬の世界を長く見てきた人、現場を知っている人であればなおさらです。ただ、その人が業界に詳しいことと、この事故の捜査内容を知り得る立場にあることは、まったく別のことです。ここを混同すると、簡単に足をすくわれます。
「警察から聞いた」という前置きについて
いま出回っている話の中には、警察関係者から聞いた、という前置きがついたものがあります。速度や信号の状況といった、事故の責任を大きく左右する部分にまで踏み込んだ、かなり具体的な内容です。
ここで一度、立ち止まってください。
警察官には、法律で定められた守秘義務があります。捜査中の事故について、その詳細を外部の人間に伝えることは、本来ありえないことです。まして、それが不特定多数に向けて発信されると分かっている相手に話すなど、考えにくいでしょう。
つまり「警察から聞いた」という前置きは、話の信憑性を高めるものではありません。むしろ、出所を疑うべき理由になります。
整理すると、こうなります。
- 本当に警察官が話したのだとすれば、それは守秘義務に反する行為です。そのような経路で出てきた話を、正確なものとして扱う根拠はありません。
- 警察官が話していないのだとすれば、前置きそのものが事実ではないということになります。
どちらに転んでも、その話を信じる根拠にはなりません。具体的な数字が出てくると本当らしく聞こえるものですが、具体性と正確さは、まったく別のものです。
当ブログがその内容をここに書き写さないのは、そのためです。裏付けのない話は、否定するために引用する形であっても、結局は広めることになってしまいます。
そして実際に、こうした話を事実として受け取り、そのまま広げている人が既にいます。事故の責任に関わる内容を、裏付けのないまま断定的に広めることが、どういう結果につながるのか。一度考えてみてほしいと思います。
繰り返しになりますが、警察はまだ調査中です。過失がどちらにどれだけあったのかも、公表されていません。断定的で、具体的で、もっともらしい話ほど、慎重に扱ってください。
いちばん大事なことを、忘れないでいたい
そして、これだけは書いておきたいと思います。
この事故では、一人の方が亡くなっています。50代の男性です。名前も、どんな人生を送ってきたのかも、私たちは知りません。ただ、ご家族がいることは間違いありません。
「どちらが悪かったのか」という議論は、その方に過失があったという話も含みます。亡くなった方は、もう何も言い返せません。そしてご遺族は、ネット上のそうした書き込みを目にしてしまうかもしれない。
当ブログがこの件で出回っている個々の説を並べて紹介しないのは、そのためです。整理して見せること自体が、結局は広げることになってしまう。今回に限っては、書かないことのほうが誠実だと判断しました。
管理人のひとこと
知りたいと思う気持ちは、否定されるものではありません。応援している騎手が関わった出来事なら、なおさらです。
ただ、今回については、知りたい気持ちを一度預けておくのがいいと思っています。警察が調べています。結果はいずれ出ます。それまでの間に私たちが下す推測には、何の意味もありません。むしろ、誰かを傷つける可能性のほうがずっと高い。
正式な発表を待ちましょう。そして、確かめられない話は広げないでおきましょう。それが、亡くなった方に対しても、まだ20歳の騎手に対しても、いま取れるいちばん妥当な態度だと思います。
あらためて、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。
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